宮内庁三の丸尚蔵館開館

1993年11月

昭和天皇が亡くなられた後、皇室から国に寄贈された美術品類約6700点余を保存、調査・研究と一般公開を行なう宮内庁三の丸尚蔵館(東京都千代田区千代田1-1)が、皇居内に3日開館した。収蔵された書画、工芸品はこれまで「御物」であったため、文化財としての指定はされていなかったが、平安時代以降近代にいたるまでの美術史上価値の高い作品が多くふくまれている。宮廷文化の伝統を紹介する、開館記念特別展「宮廷文化の華」が、同日より12月19日まで開催された。

文化庁創設25周年記念特別展

1993年10月

文化庁の創設25周年を記念した特別展が、東京国立博物館で「やまと絵-雅の系譜」展(13日から11月23日)、京都国立博物館で「黄檗の美術-江戸時代の文化を変えたもの」展(5日から11月7日)として、それぞれ開催された。また、当文化財研究所の黒田記念館は、所蔵する黒田清輝の作品を19日から31日まで特別公開した。

竜安寺の襖絵、メトロポリタン美術館で公開

1993年10月

室町時代に細川勝元によって建立された竜安寺は、江戸時代寛政の大火(1797年)で西源院を除いて焼失した。この西源院の襖絵は、再興した本坊に移されたが、明治28(1895)年神仏分離による仏教迫害のあおりをうけて、71面すべてが売却された。今回、公開されたのは昭和8(1933)年に大阪で公開されて以来、行方が不明になっていた8面で、22日から翌年4月24日まで同美術館の日本ギャラリーで公開された。

第5回国華賞決定

1993年10月

日本東洋美術の優れた研究に対して贈られる国華賞の第5回受賞者が決定。成瀬不二雄(大和文華館)「司馬江漢の肖像画制作を中心として-西洋画法による肖像画の系譜-」(『国華』1170)、竹内順一(五島美術館)「茶碗三題と乾山焼制作年代について」(『国華』1169)、山下裕二(明治学院大学)「夏珪と室町水墨画」(『日本美術史の水脈』ぺりかん社)が、それぞれ選ばれた。贈呈式は、21日東京築地の朝日新聞社で行なわれた。

室町時代の雪舟流展

1993年10月

雪舟とその弟子達の作品を展観し、雪舟から雲谷派の間をつなぐ「室町時代の雪舟流」展が山口県立美術館で22日から開かれた(~11.21)。個々の画家研究によって編まれてきた観のある室町時代の水墨画史を、雪舟の作り上げた画風の継承という視点からとらえ、イメージの伝播という今日的な問題をも提起する展観となった。

「現代絵画の一断面 『日本画』を越えて」展

1993年09月

国際化の進む社会の中で「日本的なもの」とは何かが問われ、美術の分野でも「日本画」とは何かを問う「現代の『日本画』と『日本画』的イメージ」展(~2.23、O美術館)などが本年開かれたが、従来の「日本画」の枠にとらわれずに、現在、日本で制作している気鋭の新進作家の80年代から90年代の作品約90点を展示する「現代絵画の一断面 『日本画』を越えて」展が28日から東京都美術館で開かれた(~11.24)。現代美術の方向を探る展示として注目された。

第24回中原悌二郎賞決定

1993年09月

北海道旭川市ゆかりの彫刻家中原悌二郎を記念して同市が創設した中原悌二郎賞の第24回の授賞作に、江口週の「繋がれたアーチ」が、また優秀賞に湯村光の「起源」がそれぞれ選ばれた。

「描かれた歴史」展

1993年09月

幕末明治期の歴史意識の高まりを反映し、西洋で最も高く評価される「歴史画」を日本に受容する過程を示す絵画、写真、彫刻、書籍等約120点で展観する「描かれた歴史」展が兵庫県立近代美術館で18日から開かれた(~10.24)。美術を社会、政治、教育等多方面と関連づけて考える意義深い企画となった。同展は10月30日から12月5日まで神奈川県立近代美術館に巡回展示された。

「国画創作協会回顧展」

1993年09月

大正7年に新進気鋭の日本画家たちによって京都で結成され、画界に新風を巻き起こした国画創作協会の創立75周年を記して、本格的回顧展が京都国立近代美術館で28日から開催された(~11.7)。同展出品作のなかで現在所在が確認できるものほぼ全点にあたる約90点が出品され、充実した展観となった。同展は東京国立近代美術館に巡回した(11.16~12.12)。

第18回吉田五十八賞決定

1993年07月

建築の吉田五十八賞の第18回受賞作品に、新居千秋設計の「水戸市立西部図書館」(茨城県水戸市堀町)が選ばれた。なお、同賞を主催する吉田五十八記念芸術振興財団は、経済的な理由と役員の高齢化にともない吉田の意志を理解し選考にあたることができる人が少なくなったため、11月11日に表彰式をおこなった後、解散することになった。

「日本とヨーロッパ:1543-1929」展

1993年09月

文化庁、国際交流基金、ベルリン・フェスティバル公社の共催による「日本とヨーロッパ:1543-1929」展が、12日から12月12日まで、ベルリン市のマルティン・グロピウス館で開催された。重要文化財15件、重要美術品6件を含む179件(絵画37件、工芸品12件、歴史資料40件、近代美術90件)とヨーロッパの美術館等が所蔵する日本美術作品をあわせて400件をこえる作品が出品され、展示は時代別に大きく三部から構成された。第一期は、ヨーロッパ人が初めて日本に鉄砲を伝え、またキリスト教の布教をはじめた、いわゆる「南蛮文化」の時代で、1543年から1639年まで。第二期は、1639年から1853年までの鎖国の時代、第三期は、1853年から1929年までの、開国から近代化のすすむ時代であり、ヨーロッパと日本とのむすびつきが歴史的に、かつ総合的にたどれるように展示がされた。

「再制作と引用」展

1993年09月

インスタレーション等の出現によって顕在化してきた美術における再制作と、従来から作品制作の手法として用いられてきた自作、他作の引用をテーマに現代美術作品約60点を展示する「再制作と引用」展が18日から東京の板橋区立美術館で開かれた(~10.24)。作品のオリジナリティーの問題、美術品の価値基準の問題等を提起する展観となった。

第1回フジサンケイビエンナーレ現代国際彫刻展

1993年07月

昭和59年にはじまった具象彫刻の「ロダン大賞展」と抽象彫刻の「ヘンリー・ムーア大賞展」が今年から同展に統合され、その第1回展が美ケ原高原美術館で開催された。(16日~10月30日)コンクール部門では、9日に最終審査が行なわれ、大賞にメルヴィン・エドワース(米国)の「アサフォ・クラ・ノ」、ロダン賞にはビリー・リー(フランス)の「寺院」、ヘンリー・ムーア賞にはジャン・スザンヌ(フランス)の「間隙」、特別奨励賞にはフィリップ・キング(イギリス)の「月光の中の太陽」が、それぞれ選ばれた。

新潟県立近代美術館開館

1993年07月

平成3年7月に着工され、昨年12月に建物が完成し、本年4月に新潟市の新潟県美術博物館から美術部門が正式に移行し、開館にむけて準備をすすめていた新潟県立近代美術館(新潟県長岡市宮関町居掛)が、15日に開館。延床面積10723㎡、地上一部2階、地下1階の建物で、常設展示室3室、企画展示室1室、個人、団体向けのギャラリーの他、ハイビジョンギャラリー、講堂などを備えている。開館記念展として、近現代美術作品の一部が同美術館に引き継がれた旧大光コレクションから約200点を集めて、「大光コレクション展」(15日~9月5日)が開催された。

アンゼルムキーファー展

1993年06月

社会への深い洞察を制作によって発表してドイツのみならず世界でも高い評価を得ているアンゼルム・キーファーの日本での初めての個展が3日から開催された。第1会場を東京・池袋のセゾン美術館とし、東京・江東区の佐賀町エギジビット・スペースを第2会場として、1969年から92年に制作された油絵37点、水彩16点、彫刻3点、インスタレーション1点、本15点が展示された。会期中、作家自身が来日し、「アンゼルム・キーファー-アーティスト・トーク」も行なわれ、キーファーの本格的な紹介がなされる機会となった。

MOA岡田茂吉賞決定

1993年06月

日本画と日本美術工芸の分野における業績を顕彰するMOA岡田茂吉賞(MOA美術館主催)の第6回受賞者は、大賞にガラス工芸の加藤卓男、優秀賞に陶芸の楽吉左衛門が選ばれた。同賞展は9月18日から10月13日までMOA美術館で開かれた。

国際文化交流シンポジウム’93

1993年05月

昨年にひき続き、文化の国際協力の進路を検討する「国際文化交流シンポジウム’93」(主催=朝日新聞社、東京芸術大学、(財)芸術研究振興財団)が21日、東京・有楽町マリオンの朝日ホールで開かれた。「文化財の国際赤十字構想」の具体化を目指すもので、佐野文一郎(東京国立博物館)、ロバート・アダムス(米国スミソニアン研究所長官)、内田弘保(文化庁長官)など欧米・日本の美術館・博物館長ら10名がパネラーとなり、世界の文化財保護の状況、今後の課題等について協議した。

ウィーン国立工芸美術館に狩野派筆の「唐獅子図」

1993年05月

オーストリアのウィーン国立工芸美術館に、江戸期に来日したシーボルトの次男ハインリヒ・フォン・シーボルト(1852-1908)の旧蔵品で「芝の寺から」と伝えられる「唐獅子図」2点が所蔵されていることが、欧州美術館所蔵日本美術品調査を行なっている講談社の調査団により確認された。木の板に金箔を貼り、岩絵具で描かれ、典型的な狩野派の画風を示す優品で、増上寺の徳川家霊廟壁画が廃仏毀釈などを背景に海外に流出したと見られる。

パリ日本文化祭

1993年04月

「文化間の対話-Dialogue of Cultures」をメインテーマに、日本の現代文化と世界各国の文化の相互作用を検証し、21世紀にむけて日本の役割をさぐろうとする多様な文化的催しが、パリで29日から5月15日まで行なわれた。勅使河原宏総合演出による「パリ大茶会」のほか、シンポジウム、絵画、書、写真、陶器、生花等の展観が行なわれ、大規模な文化交流の場となった。